腎は精〔生命エネルギーの基礎物質〕を貯蔵し、この精が不足すると肝を養う
ことができない、これは肝血〔肝に蔵す血〕と腎精が相互資生であるがため、
腎精が不足すると結果的に血液不足となり、肝血虚〔肝陰不足〕、すなわち
肝血の不足となります。
肝血は目に働きその不足は視力低下、また筋に働くた
めその不足は筋のひきつり等を引き起こします。
肝経〔肝に気血が流れる道筋〕
は生殖器を流れていますために、男性なら
インポテンツ、女性なら、不感症、不妊症に関係してきます。
また腎精は内分泌
系全般の物質的基礎に相当するものと考えられています。これは生命体の発生、
生育、生殖、成熟、等に関与しています。
従って腎精不足はこれらの不足を来た
し発育不良、生殖機能の衰退老化の促進などをもたらします。又腎精不足は脳髄
を充実させることができないため、眩暈、耳鳴りなどを引き起こしやすくなって
きます。これは東洋医学で言う〔水〕に腎が関係しているからです。
これを〔腎水〕と言い非常に重要な概念を意味します。
このことは追って記述していきたいと思っています。又腎は骨に関係するため老人
では骨の異常などによる変形等が起こります。従って腰痛、関節痛などを起こしや
すくなります。又腎精不足と共に表われる腎気虚〔腎の働きの・不足〕には知能、
反射神経の低下、性機能の衰退、記憶力や記名力の低下、ボケ、聴力視力の減退、
腰や膝の無力などが現れます。
更にこの症状が継続し腎の働きの低下衰退により寒気・手足のひえ、頻尿・夜間多尿
・尿失禁、又排尿困難などの症状等が現れます。
腎精不足が継続すると逆に虚熱と
乾燥の症状となり体の熱感、てのひらや足の裏のほてり・のぼせ・いらいら・不眠・
頬の紅潮・口や喉の乾燥感・痩せる・尿が濃い・便が硬くなる・性欲の仮亢進〔快感が
ない 勃起しやすい、精液がすくない〕などの症状があらわれます。